ジョブ型雇用でこそ求められる「コミュニケーション力」

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新卒の就職活動で問われた「コミュニケーション力」

本題に入る前に、少し就職活動・採用活動について述べたいと思います。

私が就職活動をしていたのは10~20年前になります。当時から採用側の質問の決まり文句は「学生時代に最も力を入れていたことは何か」という、所謂“ガクチカ”というヤツでした。表面的には文字通り、サークル活動やアルバイト、学業などの活動を通じてどのような成果を発揮してきたかという内容を聞くものですが、そこで見ているものは成果そのものの優劣ではありません。例えば、以下のような内容を採用側は見ています。

  • 誰かから指示されたことを遂行するだけではなく、自らで高い目標を打ち立てそこに向かって邁進できるような自律性があるか
  • 壁にぶつかったときに、その原因を分析し、適切な対応策をとるという論理的な思考ができているか(実際に対応策をとれたかというよりは、その思考プロセスを見ることで論理的思考力をみる)
  • 一人だけで行うのではなく、周りと協同しながら取り組んだ経験があるか(複数で物事にあたるということは、多かれ少なかれ周囲との摩擦を経験しながら、それに対処していく方法を学ぶことになる)

上記のようなポイントを確認していくことで、社会人として、あるいはその会社で働くにあたっての能力(コンピテンシー)があるかどうかを判断しています。ただ、実際に私も面接官として採用活動にあたることもありますが、そもそもの前提として「コミュニケーション力」がやはり重要だなと感じています。

上記のようなコンピテンシーを確認していくための質疑応答をする中で、面接官とスムーズなやり取りができない学生も多く、内容云々の前にそこで落とすことになる場面がよくあります。たまに人材会社が採用担当者に「採用において最も重視している点は何か」といったアンケートを取ると、「コミュニケーション力」が上位に来ることがあり、「仕事に直結する能力ではなく、結局コミュニケーションで見られているのか」などと揶揄する声も挙がったりしますが、個人的にはある意味納得しています。

ジョブ型雇用でも求められる「コミュニケーション力」

さて、そろそろ表題の件についてお話したいと思います。近年導入が増えてきている「ジョブ型雇用」ですが、主な目的やメリットとして例えば以下のような点が語られます。

  • 自分の得意分野に特化できる
  • 特定分野の業務のみに取り組むことで、専門性やスキルを向上させられる
  • 成果が評価に直結する

特に1・2点目が該当しますが、「ジョブ型雇用」には、ある程度定められた組織範囲の中で、継続的に人材のやり繰りが行われるというイメージがあるかと思います。これは各人の専門性を高めていくという観点で必要なことであると思います。それまでの「総合職」的なやり方(メンバーシップ型雇用とも言われます)では、数年で部署移動が行われ、専門人材よりもオールラウンダーを輩出することに重きが置かれていました。一方、労働力人口が減少していく中において、若手社員には受け入れづらい仕組みになっています。今の若手社員は新卒で入社した会社で勤め上げるより、将来的な転職も前提として自身のキャリアを作っていくという思いを持った社員が多いからです。

このジョブ型雇用における、特定組織に閉じたキャリア形成についてですが、もう少し経営目線で見たときにはどうなるでしょうか。企業経営において現在最も求められているのは、イノベーションの創出です。長くなるので詳細は割愛しますが、特定の商品・サービスにはライフサイクルがあり、その事業だけで永続的に利益成長していくことは難しくなります。そこで求められるのがイノベーションによる新たな市場の創出です。イノベーションは単純化すると、あるものと別のものを組み合わせること(新結合)によって生じます。そのため、会社としてイノベーションを活発化させたい場合は、例えば組織に多様性を持たせるということが一つの方法になります。今世の中的にダイバーシティが叫ばれるのは、単なる人権意識の面だけでなく、経営的にもイノベーションを促すために必要な方策だからです。

その観点からみると、ジョブ型雇用で各組織が専門性を高めていくとすれば、効率的に仕事ができる反面、イノベーションという観点では不十分な取り組みとなる可能性があります。そこで、経営の視点としては、ジョブ型雇用を取り入れる一方で、中途採用者を増やして人材の流動を活発化させることや、部門間あるいは他社も含めた協業(ジョイントベンチャー、コンソーシアムなど)を促していくことを意識するようになります。よって、会社で働く社員としては、これまで社内での同僚とのコミュニケーションや取引先とのやり取りで済んでいたところが、社外の方々とも協力しながら事業創出していくという、より難易度の高いコミュニケーションが求められることになるのです。新卒採用で重視されていた「コミュニケーション力」が正に必要とされる時代なのです。

これから必要となるのは、上述した通り単なるコミュニケーションではなく、最終的な目的・目標が異なる他者/他社と協業を行うためのコミュニケーションですので、非常に難易度が高くなります。もしあなたが今、社内や取引先とのコミュニケーションですら苦労されているようでしたら、これからはさらに高い壁が立ちはだかることになるかもしれません。

どのように対処するか。高い目標もまずは足元の一歩からが大事です。まずは社内でのコミュニケーションが円滑に回るよう、ご自身の能力を高めていくことがポイントであると思います。

「進化工房」では、現在働いている会社でさらに活躍できるよう、様々な悩みを解決するお手伝いをしています。お悩みがあれば、ぜひご連絡をいただければと思います。

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